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SIerのSEだったりIT企画だったりのサラリーマンブログ

就職活動でSIer/SEの仕事を勘違いしないようにしてほしい

もう何年も前だが、新卒入社で大手SIerに入社した。当時想像していた仕事とGAPもあったため、SIer業界へ入ることを考えている人への参考になれば。

 

 SIerの定義についてはwikiを調べてもらえればいいと思うが、システムインテグレーターの略称であり、システムをインテグレーションする企業である。

 上流工程から下流工程までシステムのライフサイクルを回し、顧客システムの開発・運用を行う、というような硬い説明は外から見ると何も理解できない。中の人的には格好良く表現したい気持ちはわかるが、ようは「お客様(や業界トレンド)の言うことにあわせて、怒られないように途中途中でお客様と合意をとりながら、丁寧に開発・運用する」ということである。

 

 SIerは技術力がつかない。とよく言われるのは、この「言うことにあわせて」、「合意をとりながら」、「丁寧に」を遂行することに大手SIer・元請けSIerは力を入れているからである。これらにはIT技術もプログラミング能力も必要ない(本来は必要であるが、何であれ顧客と意思疎通ができ、合意形成さえとれればいいのである)。残った開発作業は下請けにお任せする。そのため、大手SIerのような元請けのSEは、実際の開発作業をやるような暇はないのである。開発のプロではなく、システム開発を行う上で、自社を守る合意形成を行うプロなのである。だから文系出身であっても、プログラムに興味がなくともSEになれるし、やっていける。何なら下手に開発に興味がある方が業務の邪魔かもしれない。

 

 では、その下につく「実際に開発・運用を行う」SEはどうか。技術力が身につくのだろうか。答えは現場や会社、ポジションによって違ってしまう。誤解を恐れずに書くと、自由に技術力は身につけられない。決まった要件、決まったプロセス、決まったアーキテクトで誰が開発しても品質を担保できるように開発をするのが、SIerシステム開発である。それに沿った技術は身につくが、それがどのようなものかはプロジェクト次第だ。ここで注意してもらいたいのは、開発するシステムは今時のシステムでない場合がほとんどである、という点である(あくまで私の観測範囲のため、もちろんそうでないパターンもあるとは思う)。私達のスマホに入っているアプリや良く使うWEBサービスではないのだ。昔からある古い経理システムや国や自治体の業務システムである。両者に良い悪いは存在しないが、自分の趣味嗜好と合うかはよく考えた方がいい。古いシステムの古い開発スタイルにも利点や学ぶことはたくさんあるが、それをポジティブに捉えられない場合、転職する羽目になる。

 

 上記は極論ではある。大手SIerであれば、多くの部署があり、幅広い領域がある。WEB系企業のようなことやアジャイル開発や新しいビジネス検討等をやっている部署も恐らくはある。ただし、ごく少数だ。そして、そのような部署に自分が配属されるかは自分でコントロールができない。

 

 自分で社会的意義あるシステムを作りたかったり、自分の興味の技術や分野を身につけたいのであれば、自身が入る会社・PJがマッチしているのか今一度考えた方がいい。新卒であれば、その会社がどの立ち位置で主にどんなシステムのSIerをやっているのかは極めて重要である。IT業界なら何でも良いと思って入ると後で後悔することになるかもしれない。